全国の老人ホームの種類と数

人生100年時代といわれる中で平均寿命が年々延びていますが、同時に介護の問題も深刻さを増しています。介護の問題は家族間のみで解決することは非常に難しいため、施設などでプロの手を借りることも視野に入れると良いでしょう。

一口に老人ホームといっても種類が多いので、現状どのような施設がどれくらいあるのかを把握しておくと今後のためにもなります。


老人ホームの種類

老人ホームは大きく民間施設と公的施設に分かれていて、民間施設には有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームがあり、公的施設にはケアハウスを含む軽費老人ホーム、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護老人保護施設、介護医療院ともいわれる介護療養型医療施設があります。

各施設はそれぞれ目的などが異なっているため希望した人が入れるというものではなく、入居のための条件も介護度などによって違いがあり、入居金や月額利用料などの費用もそれぞれ異なっています。入居金の有無は民間施設では施設によりますが、公的施設ではケアハウスを除く施設では不要になっていて、月額の利用料も民間施設よりも公的施設のほうが安くなっているのが一般的です。

また、医療サービスに関しては、介護老人保護施設と介護医療型医療施設ではホーム内にいる医師などの医療スタッフが行いますが、その他の施設では、その介護施設と協力している病院などの医療機関から医師などのスタッフが往診に来たり、入居者がその病院に通院することになっています。

有料老人ホームの種類

老人ホームのうち、全国で最も多いのが有料老人ホームで、その数は13,000以上あります。有料老人ホームには介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームの3つがあり、それぞれ目的が異なります。

このうち介護付き有料老人ホームは介護度に応じて必要な介護サービスを受けることができる施設です。ホーム内の介護スタッフが介護サービスを行い、ホーム内の看護師が看護サービスを行うのが一般的で、その場合の費用は介護度別に決定されている定額制のため、安心して介護を受けることができます。

また、生活相談やケアなどのプランの作成はホーム内のスタッフが行い、実際の介護サービスや看護サービスは外部の訪問介護事業者や訪問看護事業者などに委託をするところもあります。その場合の費用は、外部委託した分だけ料金が発生することになります。

健康型有料老人ホームは、特に介護の必要のない健康な人を対象とした施設であり、食事などの生活支援サービスを受けることができます。健康な人を対象としているため、入居者に介護が必要になった場合は退去する義務が生じます。

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サービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅は2011年に登録が開始された比較的新しい制度で、現在では全国に7,000以上の施設があります。入居の条件としては、40歳から59歳までは要介護や要支援の認定も必要になりますが、60歳以上であれば誰でも入居することができます。

この施設の目的は安否確認と生活相談がメインですが、バリアフリー構造になっているのが大きなメリットといえます。高齢者が事故に合う場所の割合は自宅が7割を超えていることや、トイレや廊下、玄関などの若年層では想定しにくい場所でも高齢者の事故が確認されていること、高齢者の事故は大事に至る可能性が高いことなどを考えても、入居するだけで大きな安心を得られる施設だといえるでしょう。

養護老人ホームと特別養護老人ホームの違い

養護老人ホームと特別養護老人ホームは名称は似ていてもまったく別の施設で、その目的も異なっています。特別養護老人ホームは高齢者の介護を主な目的としていて要介護3以上の入居条件が必要な施設で全国に8,000以上あり、養護老人ホームは健康上は特に問題はなくても、経済的や本人の環境などの問題から自宅で生活するのが困難な高齢者に社会復帰を促すことを目的とした施設で、その数は全国でも1,000もないくらいです。

特別養護老人ホームは介護保険を利用してサービスを受ける施設で、本人と施設の間で契約することで入所が決まりますが、養護老人ホームはこうした介護保険サービスの施設ではなく、担当の市区町村が本人の調査を行ったうえで入所の必要があるかを決定します。

どちらの施設も原則として65歳以上で一定水準以上の健康状態を満たしていることが入所の条件になっています。

各地で需要が高まっている老人ホームの特徴とは

グループホームの存在意義

現在、有料老人ホームに次いで全国で2番目に数が多い老人ホーム施設はグループホームです。2000年に介護保険法が制定されたことに伴って新たに類別された施設で、認知症に特化していることが大きな特徴です。入居条件には年齢や要介護度の他に医師から認知症の診断を受けていることや、その施設と同じ市区町村に入居する人の住民票があることがあります。

入居の条件に住まいが地元ということがあるので、生活環境がそれまでと大きく変わることがなくストレスも感じにくいというメリットがあります。また、少人数制で小規模な施設のうえ、担当制のスタッフも認知症を専門とした介護スタッフであるため、施設内でもコミュニケーションが取りやすいということも入居者に嬉しいといえます。

デメリットとしては、施設に看護師の配置が義務付けられていないことがあります。そのため、看護師のいないグループホームでは、体調の変化などによって医療行為が必要になった場合などには退去義務が生じるところもあるので、事前によく確認しておくと良いでしょう。

軽費老人ホームの種類

軽費老人ホームにはかつて、軽費A型、軽費B型、ケアハウスの3種類がありました。低所得者向けの施設になっていることが大きな特徴で、その人の家庭環境や経済状況を考慮していたA型よりもB型のほうがより住居に近い施設だったといえます。

また、ケアハウスはA型やB型のような所得や家庭環境よりも住宅の面を重視している施設になっています。2008年にA型とB型の施設はなくなりケアハウスに統一されましたが、一般型と介護型があるケアハウスは低価格での利用が可能なため、今後も利用したい人は増加すると予想されています。

介護施設の増加によって予想される必要なスタッフの増加

現在増え続けている介護施設ですが、平均寿命が延びていることから今後も増加の傾向があることが予想されます。しかし、このことは介護施設で働く側からみると売り手市場にあるといえます。人手不足が懸念されている介護スタッフですが、今後はAIの普及などによってスタッフの負担も軽くなることも予想されるので、興味のある人は検討してみても良いでしょう。