老人福祉施設のグループホームって何?わかりやすく解説

老人福祉施設には色々な種類があり、それぞれの特徴や利用目的が異なるため、利用を検討する際には迷うことも多いでしょう。そこで今回は、老人福祉施設の中でも注目を集めているグループホームとは何かについて、詳しく紹介していきます。

認知症のケアだけではなく、進行の防止や機能の回復にも貢献する施設ですので、ぜひ、チェックしてみて下さい。

グループホームって何?

老人福祉施設のグループホームは、医師によって認知症と判定された方を対象とした、高齢者介護施設のことです。その名の示す通り、入居する方は5名から9名のグループで生活します。ただ、認知症患者が共同生活をするのは大変ですから、支援するために高度なノウハウを持つ、専門の介護スタッフが用意されているのも特徴です。

ここで生活するグループは、介護の業界ではユニットと呼ばれています。他の施設に比べて少ない人数が共同生活するため、行き届いた世話を受やすいのがメリットです。また、介護スタッフは単に面倒をみるだけではなく、共同生活を送れるように支援します。

掃除や洗濯などをサポートすることで、入居者の病状が進行するのを防止し、生活する能力を取り戻すのが目標です。

グループホームが誕生した経緯を簡単に説明

2000年4月に制定された介護保険法によって、新たに誕生したのがグループホームです。正確には「認知症対応型共同生活介護」と名付けられていますが、一般には「グループホーム」として親しまれています。元々は認知症の患者が自力で生活できるよう、心身の機能を維持・回復するための施設として誕生しました。

このため、従来は軽度の認知症患者だけが対象だったのです。しかし、後に高齢化が加速したことで、重度の認知症患者も受け入れる方針に変更しています。制度がスタートした直後は700軒に満たない数でしたが、わずか5年で6,000軒以上が整備されるに至りました。

近年は1万軒を超えており、需要が高い施設の一つに数えられます。

各地で需要が高まっている老人ホームの特徴とは

グループホームの特徴について

グループホームは、5人から9人の入居者が疑似的な家族として暮らしているのが特徴です。このように複数名がユニット単位で暮らすことで、会話の機会も生まれますし、生活にメリハリも出てきます。介護スタッフは入居者ができないことを代わりに行うのはもちろん、今の能力や機能が失われないよう、工夫が欠かせません。

このため、入居者一人一人に向き合う必要があるので、スタッフに過度な負担をかけないよう、グループホームでは最大2ユニットまでしか受け入れていないのです。また、グループホームは安住の地を離れられない高齢者を受け入れる、地域密着型のサービスとしての側面もあります。

入居者は長く親しんだ地元を離れないでも生活可能です。特に認知症患者の中には、環境が大きく変わるとストレスを感じ、状態が悪化する心配があります。よってグループホームでは、自宅に近い環境で、さらに地元に溶け込むような形で生活を楽しめるよう、色々な配慮を行っているのです。

グループホームのメリット

まず、生活保護受給者でも入居できる可能性があるのは、大きなメリットの一つです。生活保護法による指定を受けた施設に限るなど、一定の条件はありますが、それさえ満たせば問題ありません。他の施設では特別養護老人ホームがありますが、こちらは条件が厳しい上に、入居待ちの方が多いため、利用するのは困難です。

特別養護老人ホームに空きが出るまでの間は、グループホームの利用を検討すると良いでしょう。少人数制なので、入居者のサポートが綿密に行われやすいのもメリットの一つです。一人一人に適したサポートが期待できますし、機能回復や生きがい探しのために、レクリエーションが充実している施設が多く見当たります。

レクリエーションの内容としては、地元のスーパーに買い物に出かけたり、入居者が一緒に料理を作ったりと、枚挙に暇がありません。これらの活動を介護スタッフや、家族のように一緒に暮らしている入居者のグループで楽しむため、充実した余生を過ごしている方も多いです。

後は専門の介護スタッフの存在も、大きなメリットと言えます。グループホームに配属されるスタッフは、認知症ケアに関する高度なノウハウを持っているのが特徴です。介護支援専門員や、夜間でも対応できるよう常駐のスタッフを配置するよう法律で義務付けるなど、安心感が高い運用が行われています。

全国の老人ホームの種類と数

受け入れ条件

認知症患者向けの施設ですから、グループホームに入居するには一定の条件があります。まず、要介護1か、要支援2以上に認定されることが欠かせません。何の問題もない方は入居できないので、これがデメリットと言われることもあります。

年齢制限もあって、65歳以上でないと入居できないのも特徴です。65歳未満の場合は、受け入れ可能な年齢になるまで、他の方法を検討する必要があります。他には、基本的にはグループホームあるのと同じ市区町村で、住民票を持っていることが必要です。

地域密着型と言う名目があるため、遠方から利用することができません。これが大きなデメリットの一つで、お住まいのエリアによってはグループホームの数が少なく、好ましい施設に入居できない場合があります。

費用について

グループホームの利用には、初期費用と月額料金が必要です。いずれも利用する施設によって大きく異なるので、じっくりと調査しましょう。まず、初期費用は無料から数百万円まで、多種多様な施設が見当たります。実際には10万円から数十万円程度のケースが多いです。

この初期費用は一時金や保証金と言う名目で請求されます。このため、月額費用の不払いなどで差し引かれる分を除いて、退去時に返金されるのが一般的です。次に月額料金は、10万から30万円程度が相場と言われます。

内訳は介護サービス料や生活費などです。これに賃借料が加わるので、施設によって価格に開きが生じています。土地が安い地方ならリーズナブルですが、都市部では高額になりやすいのです。なお、月額費用とは別に、新聞雑誌や散髪の料金がかかることもあります。

じっくりとリサーチしよう

介護施設を検討する際には、確かにグループホームは人気があります。しかし、個人の性格や資金面などに合わせてベストな選択をすることが大切ですから、他の方法もあわせて検討をすすめましょう。その上でグループホームを希望する場合も、施設によってサポート内容やレクリエーションの充実度も違ってくるので、焦らずに調査していくことが大切です。